キミへ


そのあと、悲鳴なんて聞こえてきたけどどうせ千嘉だろうと振り返りはしなかった。



「はぁ……」



バシャバシャと顔を洗った後、そこに座って片膝を折った。



「………キモイっつーの、自分」



さっきの自分を思い出して顔を歪めた。

何がどうなったんだか。一瞬幽体離脱でもしたか。



「…………はぁ」

「さっきからよく溜め息つくな」



頭上から声が聞こえて、見上げるとそこには怜衣がいた。



「……あら怜衣くん。盗み聞き?」

「杏菜の独り言がデカイんだろ?」



ち、ちくしょー…言い返しやできねー



「ちっ」

「(舌打ち……)」



怜衣は苦笑いしながらあたしの隣に来た。