キミへ


しかも……、



「ギャハハハ!! さすが龍じゃん!!」

「やっぱパン食いの王さまは龍しかいねぇわ!!」



パンを全部抱えてゴールテープを切った龍。

…ある意味最強。



「ららいらー」
(↑ただいまー)



パンを食べながら帰ってきた勝者。

その笑顔が嫌味に見えるのは気のせいか……



「1個ちょーだいな」

「ん」

「龍さすがだね!」

「だろ?」

「調子のんな」

「いて」



得意気に言って笑った龍に雅の小突きが入った。



『次は女子100m走です。選手は集まって下さい』

「げ、ウチかよ〜」



『はぁ』と溜め息を溢す千嘉に『頑張れ』と声をかけた。



「ん、杏菜のためにガンバるよ!」

「レズか」

「黙れハゲ」

「あぁ?」



バイバーイと手を振る千嘉に小さく手を振り返した。