その誰かとは、いつの間にか目の前にいた玲音くんだった。
「お前、ああいうしゃべり方の奴嫌いだろ」
「う、うん…。そう……」
あからさまに『私可愛いでしょ?』とか『私って何でも出来るの』とか…、そーゆう自意識過剰な人とかぶりっ子はあたしが一番嫌いなタイプ。
それでも、平然と喋れるのはもうそれが癖になってしまったから。
嫌いな相手でも、そうやって付き合って行かなくちゃと思うと、自然と笑顔が作られて普通に喋れる。
無意識で自分でやってる防衛反応。
「座ってなよ? 疲れたでしょ?」
にっこりと笑う千嘉ちゃんに促されて椅子に座った。
「ゴメンね…、心配させて……」

