キミへ



『えへへー』と笑う千嘉ちゃんはあんまり反省してないみたいだった。



「ねぇねぇ、杏菜ちゃーん」



え、うっそ、あたし? あたしの方に来るの?

ニコニコ笑いながらスカートを揺らして走って来る。

それだけて頬が引き攣りそうになったが、なんとか持ちこたえたあたし、すごい。



「これどう思うー? 新作なんだぁ」



うん、知ってるよ。聞こえてたよ。てかニコニコ笑うのヤメテくれないかな?



「うん、可愛いんじゃない?」

「ほんとぉ? エリカ嬉しいなぁ」



あっそう。他の男におんなじような事言われてもおんなじように言うんじゃねーの?



「今年エリカが衣装係だからぁ、みんなのも可愛く作るねぇ」

「ほんと? 嬉しいなぁ」



ニコッ、と笑うと彼女も笑ってどこかへ行った。

そしてあたしは彼女が居なくなったのを見、両手で顔を覆うってしゃがんだ。



「ちょっ、杏菜っ!?」