必死にそう言う千嘉に、あたしは吹き出して笑ってしまった。



「ちょっ、何で笑うの!?」

「や…ごめっ…くく」

「全然悪いって思ってなーい!」

「ごめんって」



ぷくぅと膨れる千嘉の頭を撫でる。



「勉強ね、いいけど…教えるのヘタだよ?」

「お願いします!」

「じゃあついでにオレも!」

「オレっちも」

「アタシも!」

「じゃあ、俺も教えてもらおうかな」

「え、玲音は必要ないでしょっ」



みんなに便乗して言ってくる玲音にそう言った。

玲音のことだ。あたしより頭がいいに決まってる。



「ひどいなぁ。」

「思ってないクセに…」



バレた?とでもいうように笑う玲音。

それにつられて周りも笑う。



「怜衣〜?あんたいつまで寝る気ー?」



雅がゆさゆさと怜衣を揺すると、怜衣はまだ眠そうな顔をしながら起き上がった。



「おはよう、怜衣くん。お目覚めはいかがですか?」

「………さいあく」

「ぁんだとおい。一生起きれなくしてやろうか」



右手をグーにし、わなわなと震わせる雅を千嘉が宥める。



「みやびん、どーどー!落ち着いて!」

「よし。お前をまず眠らせてやろう」

「うぇえ!?」



プチ追いかけっこに笑っていると、ばちりと怜衣と目が合った。



「?」



何を思ったのか、怜衣はいきなり立ち上がりあたしの手を握った。

突然で驚き、そのまま怜衣に引っ張られ教室を出る。

その際、怜衣が玲音に『行ってくる』と呟いていた。