「あ〜…そんな事もあったね」
「オレ、杏菜みたいになりたいとか思ってた」
「はあ?」
怪訝な顔で拓真を見れば、彼はあたしを見てにんまりと笑っていた。
「男前だよね、言い方とかが」
「……あのねぇ?」
「あはは」
からからと笑う拓真に、小さく溜め息をついた。
「…そう言えばさ」
「ん?」
「拓真のお父さん、式とか言ってたけど…」
拓真は目を見開いて『えっ?』みたいな表情をしていた。
「…聞いてないの?」
「?、うん。教えてくれなかったし」
「あー…なるほどね」
と、1人納得する拓真にあたしはまた首を傾げた。
「今日、オレの結婚式なんだよね」
「へぇ…ぇえ!?」
まさかのサプライズ。
拓真が、結婚…!?
「えっ!?でも、同い年…だよね?法律上、ダメなんじゃ…」
「……あ。杏菜、ごめんね」
「へ?」
苦笑いする拓真にあたしは何がなんだかわからなかった。
「オレ、実年齢…19だから」
「……今、19?」
「うん、そう」
な ん で す と ?
「知らなかった。年齢詐欺ってたなんて。うわ、騙された」
「ちょっ、ごめんって!でも杏菜聞かなかったじゃん!」
「そうだけど。てっきり同い年だと…」
それが2つも違うなんて。すっかり騙されたわ。
「まぁ…うん。なんかごめん」
「…いや、聞かなかったあたしにも否はあるからね」
そう。勝手に勘違いしていたあたしが悪い。
「まぁ、とりあえず。
ご結婚、おめでとうございます。拓真さん」
「あはは…。うん、ありがと」
そろそろ戻ろうか、と言われ大ホールに戻った。

