キミへ


「……なに?」



玲音はあたしの目の前で足を止めて、右手を上げた。

頭、撫でられるのかなぁなんてノンキにその動作を見てた。

―――…けどその手はあたしに届くことはなかった。



「!」

「怜衣」



そう。玲音の手を持っているのは、怜衣だったから…。



「なんだよ、怜衣」

「………」



何も言わない怜衣に、玲音はあたしを見て言った。



「杏菜、教えてあげるよ。捕まえたい意味」

「?」



玲音は怜衣に掴まれてない方の手であたしの腕を掴んで引っ張った。

そして……――――



ちゅっ

軽くリップ音を立ててキスをされた。



「これが、杏菜を捕まえたい意味」



にこっと笑って、手を振り払おうとしてた。



「てめぇ……」



地響きが起きそうなくらい低い声が聞こえて、それにあたしはハッとした。



「なんでお前がキレてんだよ?怜衣」

「……っち」



そう舌打ちしてその場を去る怜衣。