キミへ


天沢エリカは拳をぎゅうと握っていた。



「所詮、アンタは内面なんて見てない。外見がよけりゃそれだけでいい。
そんなんじゃ、男に騙されちゃうよ?」



あたしも…その1人だったからね……。



「なっ…によ…。わかった風に偉そうに言いやがって!」



化けの皮、剥がれたね…。やっぱお前も見た目だけじゃん。



「アンタにエリカの何がわかるの!? 知ったような口聞くな! だいたい、エリカを誰だと思ってんの!?

天沢グループの娘よッ!!? 調子のってんじゃねーよ!!」



おー…一気に言い切った。すごいすごーい!

…なぁんて。お前が天沢グループの令嬢なんて百も承知だけど?



「天沢グループねぇ……。でも随分下級じゃなかったかなぁ? 天沢家って」

「なっ!!?」



ま…5歳から社交界に行ってなかったあたしだから、まぁ知らなくても可笑しくないかぁ。



「アンタ…パパに言い付けて此処に居られなくするわよっ!!?」