キミへ


そんなこと?



「…あたしも、1つ聞いていいかな?」



もうこの際、コイツが嘘つこうが泣こうが、どうでもいい。

それくらい、あたしはイラついてる。



「なにぃ?」

「アンタのそれ、どういう意味で言ってんの?」

「どういう意味って?」

「アンタの“好き”は本当に恋愛感情の“好き”なのかな?」



あえて、優しい口調で聞く。

…ま、コイツの答え次第でいろいろ変わるけど。



「え〜? 当たり前じゃ〜ん」

「ウソだね」

「は?」



ああ、素が出てきたけど? いいのかな?



「アンタの“好き”は恋愛感情じゃない。
アンタはみんなの内面なんて見ちゃいない。外見だけだ」

「何言ってるのぉ? エリカは内面までちゃんと…」

「黙れ」



そう低い声で睨むようにいうと、天沢エリカは下唇を噛み締めた。



「じゃあ…玲音のどこが好きか、言ってごらん?」

「……っ」

「ホラ、言えないでしょ? アンタ、玲音の何知ってんの?」