最初、杏菜を見たとき一目惚れだったんだ。
どこか不思議な感じで、普通なら俺らを怖がったり媚って来たりすんのに。
でも引っ越してきたばっかだって言っても、杏菜は普通に接してきた。
そんな女、はじめてだったんだ。
ちゃんと接してくれて、目を見て話してくれて……。
それだけで俺らは嬉しかった。
いつしか俺らは杏菜と一緒に居るようになった。
そのせいでいろいろ面倒事が起きるかと思ってたけど、何もなかった。
それどころか、クラスの奴等ともすぐに打ち解けていた。
正直、すげぇなって思った。
でも…杏菜を見ると、時々悲しそうな…感情のないような目をしていた。
最初はかなり驚いたけど、最近はそれが多くなって何かあったのか聞きたかった。
けど、あんな杏菜を見たら聞く気になんてなれなかった。
「杏菜……」
なぁ、今日絶対文化祭一緒にまわろうな。
俺、そんとき言うから。
「杏菜…、好きだよ」
今みたいに言うから…。だから、教えて、お前の全部…
−怜衣side end−

