尻餅をつき、目を瞑る帝。
――開けた時、時が止まったような気がした。
馬二頭が倒れる。落馬する奴ら。
残り三人が刀を林太郎に振り下ろそうと。
「鼠以下だな、おめえら」
それが再生の声だったか、きぃぃとコオロギみたいな澄んだ音がした。
ことは一瞬、三人がバタバタと倒れた。
胸元や腹、腕とそれぞれ傷を追っている。
「な、なんで……」
何があった?
帝には“何があったのか”見えなかったのだ。
常人では見えまい。
“裂華”(れっか)。
居合いから一気に三度の切りを行う迅速攻撃。
見た方も切られた方も、何があったか認識できない速度であった。
現に倒れた奴らは傷口を探すように、痛みをやっと探り当て呻いていた。


