「ディストラクション!」
破壊の意。
視覚に入ったもの全てを無にする右目。
体から精神まで、景色から物まで、固有名詞すらも無に還す魔神が使いし魔眼。
「……」
「……」
という設定だった。
「くそおぅ!」
完敗だと、帝は膝をついて、地面を叩いた。
「いつもこうだ……。なぜ、力が使えない……!くっ、いくら呪いとは言え、前の俺はそれすらも聖なる息吹に変えていたのに……。やはりこの器ではダメなのか……っ」
いつもならクラスの奴らが、「ダメなのは頭だろ」と冷ややかにツッコミを入れてくれるが、あるのは冷たい視線だけ。
「マルコ……いらねえよ、お情けなんて。今の俺に必要なのは、揺るぎない精神だ……」


