頭を抱えた絶望ポーズで、叫ぶ帝を渋い声の人は笑ってみせた。
「こりゃあいい。粋がいいな。ますます見せ物小屋が気に入るだろうさ」
よし、と渋い声の人は帝の腕を掴む。
「な、なんだぁ」
「おめえを見せ物小屋にうっぱらう」
「美術館に?いや、確かに俺は生きる伝説だが。ふっ、あいにくと額縁に収まりきるほどの野望を持っちゃいねえんだ。第一、前世からの因縁たる魔王が……って、人の話をきけええぇぇ!」
ずるずると引きずられていく。バタバタと暴れたためか、渋い声の人は怪訝そうだった。
「大人しくついてくりゃあ、油揚げの一つくらいやっからよぅ」
「わーい、油揚げだー、って喜ぶかクソジジイっ」
「ほう、俺をクソジジイ呼ばわりするか、狐」


