刀をしまう音がやけに耳につく。
「わっぱ、いや、おめえ、狐か」
「どいつもこいつも狐、狐って。流行ってんのか?俺はな、右手に悪魔を封じ、右目で魔を見る男。108の通り名を持つ英雄、その名を――おい、聞いてんのか!」
「変わった狐だな、ここまで人語理解するなら、見せ物小屋で高く売れそうじゃねえか」
「見せ物小屋?」
「おめえみてえなのを入れる小屋のことだ」
「なるほど、美術館みたいなものか。照れるぜ」
生きる伝説だからな、俺は。と斜め上いくのが帝の脳内だ。
その脳を持つ頭をぐしぐしと乱暴に撫でる渋い声の人。
「お、おい、やめろ!俺の呪いが移るぞ!」
「はっ、呪いだあ?やっぱりおめえ、モノノケの類いか」
「も、モノノケって。だー、なんだよ、この夢!俺がみてえのは、洋風!西洋!ファンタジー!マルコ、なんとかしてくれよ!」


