「くそおぅぅ」


頬をつねる。


「いっ……」


虚しい痛みが走った。


「は?夢だよな、これ」


わなわなと自分の両手を見て、グーパーする。夢にしてはきっちりとした感触だ。ぺたぺたと地面を触るが、こちらもまた然り。


「り、リアルな夢だ……、さすがは俺」


付け加えよう。


帝はバカだった。


「ふははは、また俺様の伝説が増えたぜ」


ガッツポーズをとる帝の頭の中には、こんな夢見る俺カッコイイー、の文字が出ていた。


「さて、と」


立ち上がり、キョロキョロと辺りを見回す。


「にしても、和風だなぁ。できんなら、洋風が良かったぜ。ほら、魔王だろ、やっぱ。魔王城ねえのかなあ」