「ごめんねえ、私も人の子なもので。あれだけ一方的に殺されると、イラついてしまうんだ。痛かったかい?」
とんとんと、彼女が押さえている箇所を男は自分の体に見立てて叩いた。
「っ、化け物が」
「そう毛嫌いしないでほしいねぇ。私は君を気に入っているんだ。ここまで迅速に私を殺し、冷酷な女かと思えば、なんだい、殴られた時にかわいい声を出す女の子じゃないかい?」
「うるさい、黙れ!」
「黙らないよ。私、お喋りが好きでねぇ。ちょっとお話しない?場合によっては、生かしてあげるよ」
「生かすだと?」
「そうそう。だって君は“死ぬモノ”でしょう。私と違って。――命の超越者の特権だ。か細い命の一つくらい見逃してあげるよ」


