「きゃ……!」
僕が蹴られた時みたいに、殴られた衝撃で彼女の体が地面にスライディングする。
「ガァ」
「っ……」
殴られた箇所を押さえる彼女の前に立つ。
あり得なかった。
胴体だけで行動するモノがそこにいた。
夢なら覚めてほしい、とんだ悪夢だ。
デュラハン(首なし騎士)となった奴は、己の首を持ち、首と首の断面をくっつけた。
ねじこむように。
押し付けて。
「……あ……、あ……あ。……あー、あー、ううん、やっと繋がったか」
喉の調子を見るように男は何度も声をあげる。
声を出す度に口から血が出ていた。
「あー、あー。まあ、こんなものか、と」
首をごきごきと鳴らして、男がこちらを向く。


