口の中が男の髪でもさもさする。
もさもさをくわえたまま、僕は“着地”した。
首と胴体の離別。
頭がなくなった断面から吹き出る血が柱みたいだった。
血柱をあげて、盛大に胴体は倒れる。
とどめと言わんばかりに、僕はくわえた頭を噛み砕いた。
嫌な触感だ。肉と血はともかく、頭のこのふにゃふにゃとしたのは――
「クロ、食べるな。捨てろ」
ぺっ、と頭を吐き出す。歪でも丸に近いためか、ボールらしく二回転ほど地面でころころした。
「さすがにしまいだろ」
顔についた血を袖でぶっきらぼうに拭う彼女が男に背を向ける。
物陰に置いたパンドラの箱を持ち、懐から麻袋を取り出す。
頭の回収だ。
近づいて、頭を手にした時。
「ワヴ!」
彼女の後ろにある胴体が――彼女を殴り飛ばした。


