息つく暇もなく、窓がない穴からライフルを構えて、よろりと立ち上がる男を撃つ。
そうした後にライフルをしまい、隣のビルに飛び移る。
迅速だった。
居場所を悟らせないように殺していく。何度も、何度も、何度も――
撃っては移動、隠れては撃って、そうして移動。
廃ビル街が幸運だった。隠れる場所が多すぎるし、高みから相手を狙える。
ただ――
「はは、いいねえ。気が済むまで殺すがいいよ!」
何度、殺そうが男は立ち上がってみせた。
「ち、弾切れか……!」
五十発全てを男に費やした。言い換えれば、おおよそ五十回は男は生き返ったことになる。
ライフルを捨て、彼女が手にしたのはショットガン。
ショットガンを撃つには至近距離だと威力が増す。
両手でショットガンを抱え、軍人顔負けの動きで男の前に立つ。


