激しい音。
赤い煙と地色の煙が混じり合う。
「クロ、大丈夫か!」
彼女がかけよるあたりでは僕のダメージも和らいでいた。
立ち上がるなり、彼女が来いと叫ぶ。
後をついていき、手頃なビルに隠れた。
壁に背を預けるなり、彼女は深い息を吐く。
使った玉の補充をしながら、影目で煙が立つ中心を見た。
――手が、煙を払った。
まだ、生きていた。
「木っ端微塵もダメか……」
絶望的に彼女は言う。
爆発から這い出た男は、服はボロボロだったものの、素肌は無傷。焼けただれた箇所もすぐに再生していた。
「ヴー」
殺せない恐怖。全身の毛が逆立つ。
「……、ほんと、“やりがいがあるクズ”だ」


