「君、凄いねー。的確に殺してくる」
ハンカチを懐に戻し、男はにこやかに笑っていた。
「びっくりしたよ、名のある殺し屋さんかい?」
拍手でもしそうな口振りにはっとしたか、彼女が愛用の拳銃――ベレッタ92Fを取り出した。
銀色の磨かれた銃身が空の雲を映す。
その彼女なりの威嚇に負けじと、僕も牙をむき出しにして唸った。
「黒豹を連れた女の子。あー、はいはい、“集団銃器虐殺”の人かあ。いい腕していると思ったよ」
「どういうことだ……」
底からやってくるような、それでいて震えているようなティーの声。
「確かに殺したはずだ」
その通りだった。
見間違えなんかではない。あれほど念入りに殺したというし、血痕だってある。