軽く顔を出した雑草を踏みしめ、薔薇をモチーフにした愛用の杖(メイス)で暗い足元を気をつける。


今宵は満月。

懐中電灯なしでも明るく、数十分歩けば、夜目が聞いていた。


くい、と目線は先の先を見る。


「あらあら」


困ったわー、と軽い感じで言ったが、実際には災厄がそこにいた。


ふらりとした痩せ身。男前な顔立ちにくらりとなりそうになるも。


「通りで、女性徒ばかりが多いはずだわぁ」


男の目は魔眼であった。


魅力(チャーム)が埋め込まれていて、見たものを虜にする。


「お姉さんはかからないのかな」


首をかしげても良さそうな声。


「俺の魔眼、3+なんだけど」


五段階評価でわけられる魔術。

詠唱なしの魔眼で3+とはなかなかのものだった。