『“黙示録の業火”(メキドフレイム)!』
炎なき焔だった。
陽炎のよう。深紅の熱を持った影が辺り一帯を包む。
焼き払うではなく、焼き消す焔は。世界の温度を変えた。
なるほど。テレサの守りは“これのため”か。
「ふっ……【ウリエル】」
焼き消える前の呟き。
何をしたかは赤い景色のせいで見えず、時間がかかった。
陽炎が消えた後は悲惨さが残る風景に変わっていた。
木が消え、雑草も網羅され、壁すらも溶けていた。
そんな中――
「そんな……」
テレサを驚愕させる事実が一つ。
視認できる視界におかしなものがあった。
土の蕾。
繭とも言える大きな土の塊ができていた。
何かを守るように、否、実際に守っていた。