完全結界。

テレサとムーサを守るように透明な壁ができあがった。


どんな攻撃も弾く、至高の壁。


「別に先生を狙うつもりはないんだけどなぁ」


心外だと言ったラスクにはわけがあった。


あの結界は守りだ。見るからにテレサを守っている。


何から?
決まっている、攻撃からだ。


召喚師の弱点。
召喚師はサポート役だ、戦闘には適していない。


よってその弱点を補うための守りをと――別に自分はか弱い女性に手をあげたりしないのに、要らない守りだ、とラスクは思ったが。


甚だしい。


『解放する!』


全てはこのためだと気付いた時には、余裕がなくなった。


全てが赤く染まる。

夜というのに昼、いや、血の海みたいなほどの深紅。