ブリュンは剣を構えて防ぐが――斬られた。
『――』
絶句としか言いようがなかった。
剣が真っ二つに。見れば、切れた断面がマグマのように赤黒く変色している。
「ほら、ぼうっとしない」
『ぐっ』
ラスクの言葉に反応したブリュンヒルデは盾を構える。
ここで何故、剣が切れたのかが分かった。
奴の鎌だ。
“焔たる炎歌”(ミカエル)。全てを焼き切るワードを付属させていた。
それでもまだ信じられない。
“炎に寝た女騎士”とあるように、炎の耐性はあるはずだ。現に盾は切られていない。
だが、剣が切られたとなれば、偶然でしたとでは済まされない。
神話の上位。
ミカエルはブリュンヒルデよりも上たる存在だ。疑似召喚とは言えども、奴が呼ぶのは本物に近い紛い物。


