厄介だった。でも、負けるとは思っていない。
――私とて、実力はあるのだから……!
「ブリュンっ、魔力を注ぎます」
『承知!』
ブリュンヒルデの首から鎖が生えて、それはテレサの腕に繋がれていた。
【排出、流れを右から左へ。止まることを知らず】
高い声にエコーがかかったかのようによく響く。詠唱と共にブリュンヒルデの周りに金のオーラがわいて出た。
魔力の供給。
魔力を力に変換し、召喚物に与える召喚師の技。
身体能力のアップだった。
「いきなさい!」
『その心のままに!』
先ほどと段違いのスピードにラスクとて目を見開いた。
何とか防ぐが反撃の余地がない。


