(修也サイド)



――早く、早く。


「俺に、堕ちろ。」


俺はとうに墜ちている。

お前という名の、
深い、深い、海に。



俺はとうに溺れている。

息苦しさは日常。
お前に堕ちて、
お前に溺れる。



「もがけ、苦しめ。」


俺と同じように
もがいても堕ちる恐怖にも似た狂喜を知れ。


「俺に堕ちろ。もっと…もっと深く、」


俺のところまで
堕ちてこい。


堕ちてきたそのときは


「俺に、溺れろ。」


一緒に、
地の底まで――。





【END】