「あった!ここね」
泉は、階段を見付けて、綾に言った。
「そう!ここ!」
綾は、笑顔で得意げに言う。

「へぇー、こんな所に!!新しくお店ができたって知ってたから、来たかったんだぁ」
「うん、私もー」
一緒に来た友人たちも、それぞれに言う。

「何のお店だっけ?」
「雑貨屋さんよ」
「雑貨屋さん!わぁー楽しみ!早く行こう、行こう」
泉が、新しい可愛いお店を早く見たくてせかした。
綾たちは、階段を上がっていった。

「それにしても、ここ、綺麗ねぇ。両端に、お花が咲き乱れて」
泉が、階段を上がりながら言った。
「ホント。綺麗ねぇ」

泉は、お花や鳥など、気がついては、よく話題にする。お花が綺麗ね、など、自然に思ったことをすんなりと口にする人だ。
綾は、泉のそんな所を、良い性格だ、と思っていた。

「あっ、見えたー」
階段をもうすぐ上がりきる所で、お店が見えたらしく、泉が声を上げた。
「可愛い!!絵本から、そのまま飛び出してきたみたい!」
「わぁーホント!近くで見ると、もっと可愛い!!」
「可愛い!!」

泉たちは、きのこのお店に駆け寄った。
そして、間近で見る。

「きのこだぁー。お話の中にいるみたいねぇ~」
泉が、お店を見上げる。
友人たちも、それぞれに言う。
「うん。可愛い!」
「わぁー、テラスがある!」
「あっホント!」
泉たちは、テラス席の方にいった。
「あっ、こっちにもテーブルと椅子があるよー」
「向こうにも。お店の周りが、グルッとテラスになってるね」
「わぁー見て!」
お店の裏側にまわった泉が、歓喜の声を上げた。
その声に、友人たちは、泉の方に駆け寄る。
綾は、泉は、たぶんあの事をびっくりしたのだろうと予測したので、ひとりほくそ笑み、泉の方に歩み寄った。

「どうしたの?」
泉に駆け寄った友人たちは尋ねる。
「これだよ」
泉は、そう言って、前方を指し示した。
泉に言われて、友人たちは、前方を見た。

「わぁ………」

目を奪われた。