*** カナカナカナ… 何の虫の鳴き声だかしらないけど、蝉じゃないことだけは確かだと思う。 ガラッ 病室のドアが開いた。 「日向!お花持ってきたのよ」 ユリを持ってにっこりと笑ってる母さんがいた。 …何で俺、今期待したんだろう。 俺が入院してることを葵が知るはずないのに。 「…ありがとう、母さん」 俺が病気だと知ったら、葵はどう思うだろうか。 ――…俺が二十歳までしか生きられないと知ったら。 葵は…俺から離れて行かないだろうか。 ――俺が消えることに怯えて。