「それがわかってて…」

私は振り向く。

「ここに呼びつけたのかしら~?」

…背後に人が立っていた。

身長は私よりも頭一つは大きい。

身につけているのは動きやすさを重視した黒のボディスーツ。

てっきり学園の制服を着た、生徒の誰かが来ると思っていた。

悪ふざけの過ぎた生徒ならば、ちょっとお仕置きしてお説教した後、早々に帰宅させればいいと思っていたのだ。

それが現れたのは、体格からして成人男性。

しかも。

「……」

学園の体育会系男子生徒が好きそうな、プロレスラーの覆面をつけた滑稽な姿をしていた。