「ふぅ…」


玖音はお湯に浸かると、小さく息をはいた。


「玖音、熱い?」

「ちょうどいい。浬音も入れ」

「うん」


僕はゆっくりと、お湯に浸かった。

…温かい


「玖音」

「ん…」


玖音は目を閉じたまま、返事をした。


「なんで僕は男の子じゃないんだろう‥」

「……いきなりどうした」


玖音はゆっくり目を開けた。


「…なんと、なく」

「…俺は浬音が女でよかったと思ってる」

「‥どうして?」


玖音はお湯から右手を出し、僕の頭に乗せた。

そして、ゆっくりと撫でた。


「こうやって風呂にも入れないし、一緒に寝れないし、ケンカもするだろうから。俺は浬音が女でよかったと思う」

「玖音…」

「俺の中で、浬音と一緒にいることは当たり前のこと。一度もお前が男だったらなんて、考えたことねーよ」


玖音はそれだけ言うと、お風呂からあがった。


僕も暫くしてから、あがった。