僕らは無言で、担任について行く。
するといきなり、担任が立ち止まった。
「言うの忘れてたが、俺の名前は邑鮫 美浪(ムラサメ ミナミ)だ。好きに呼んでくれていい。一応2のZの担任」
「…一応?」
「あぁ。教師ってのは副業」
「‥そうなんだ」
僕が言うと浪ちゃんは、ポケットから小さな黒い箱のようなものを出した。
「ん」
浪ちゃんはその中から一枚の紙を出し、僕に差し出した。
僕はその紙を受け取る。
「‥名刺?」
「そっ。俺の名刺」
「…Dark Red‥社長、邑鮫 美浪」
僕は名刺を読みながら、目を見開いた。
僕は驚きで、いっぱいだった。
「浪ちゃん…ホントにDark Redの社長なの?」
「あぁ。これでも一応、邑鮫財閥を背負ってんだぜ?」
「凄い。……僕、Dark Red好き」
「おっ、マジか!!んー、これやるよ」
浪ちゃんは自分の指から1つのリングを外し、僕に差し出した。
「わぁ‥カッコいい」
「この世に1つだけのリングだ。俺が高1のとき初めてデザインした1つだけのリング」
「貰って、いいの…?」
「あぁ」
浪ちゃんはニッと笑った。
僕はそのリングを指にはめた。
「…大きい」
「浬音。リング貸して」
僕は玖音にリングを渡した。

