玖音は或の登場に驚いていたけど、或は完全無視。
玖音など見えていない、知らない、とでも言っているようだった。
或は僕の方に、近づいてくる。
「どうしたの、或」
「浬音を誘いに来たんです。昼ですから、屋上にでもいって昼食をとろうかと」
「いいよ。行こうか」
「はい」
僕は鞄を持ち、立ち上がった。
「晄君。僕は或とご飯食べてくるね」
「え‥うん。わかった」
晄君は小さく頷いた。
僕は教室を出るときに、少しだけ‥玖音と目があったけど、無視して或と屋上に向かった。
今、玖音に関われば全てが崩れてしまうから‥
「…ごめんね……玖音」
僕は誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。