「じゃあ、俺は理事長に挨拶してきます」

「わかった」



或は理事長室に向かった。



僕は1人で教室に向かう。


何も変わっていないはずの学校が、僕にはとても眩しかった。



暗い時を生きていた僕には…綺麗すぎる場所に感じた。




教室の前にきた僕は、小さく深呼吸をし、ガラッ、と教室のドアを開けた。




「あー、浬音君だぁ!」

「っわ!?」



僕の名前を呼んだのは、一度も話したことがない男の子だった。



「…誰?」

「僕は西澤 晄(ニシザワ アキラ)だよっ!」

「そう‥なんだ」

「僕ずっと浬音君と話してみたかったんだぁ!!」



晄君はニコッと可愛らしく笑った。