「そんなに……美味しかったですか?」 「うん!」 無邪気な笑顔を見せ、先生は顔を大きく頷かせる。 美味しい。 思えば、そう言われたのははじめてだ。 私、恭ちゃんとは違って昔から料理オンチだから……。 「……先生」 「ん?」 「美味しいって言ってくれて、嬉しいです」 美味しいと言われたら、誰しも嬉しいと思うだろう。 言って、私は先生を見つめた。