「あの、倉本先生」

「なに?」

「近いです」

「近くないって」

「近いです!!」


腰に腕を回され、先生の前髪が私の前髪にかかる。

この距離を近いと言わないで何と言うんだ。


「良いじゃん近くても。俺たち、恋人同士なんだし」

「あ……っ」


“恋人”という響きに、トクッと心臓が跳ねた。


そうか、私と先生はもう、恋人同士なんだ……。