「凪原の言うとおり、義実はいないみたいだな。じゃ、俺帰るな」 「え、せ、先生待って……っ」 私はそう言って、倉本先生に手を伸ばす。 だけどその手は先生には届かなくて、空気をつかんだ。 「お前らも、暗くならないうちに帰れよ〜」 倉本先生は私に背を向けて、ヒラヒラと片手を振る 先生が行ってしまう。 言わなきゃいけないコトがあるのに。 伝えなきゃいけないコトがあるのに。 言わなきゃ。 伝えなきゃ。 早く、早く……!