気付くと、恭ちゃんの顔が私の顔のすぐ近くにあった。 互いの息が、互いにあたる。 どちらかが少しでも動いてしまえば、触れ合ってしまいそうな唇。 「恭……ちゃっ」 「なに、してんだよっ」 突然、そんな声とともに恭ちゃんの肩がつかまれ、思い切り後ろに引かれる。 恭ちゃんの近かった顔が、私から離れる。 そして…… 「どうも、倉本先生」 そんな、カラリとした恭ちゃんの声が響き渡った。