自分の鞄をもち、どこか後ろ髪を引かれる面もちで、今日ちゃんは教室の扉に手をかける。


「あ、美加、絶対に暗くならないうちに帰ってね。世の中、凄く物騒だから」

「わかった。頑張って、プリント早く終わらせるね」

「うん。じゃあ、またね」


ふわりと優しい笑顔を浮かべた恭ちゃんは、そのまま教室を出て行った。


だけどそんな恭ちゃんの言葉とは裏腹に、プリントをやっているうちにどんどん時間はたっていく。


窓の外が、薄いオレンジ色から淡い濃いオレンジ色に。

そして赤色に、そして……


「どうしよう。凄く時間かかっちゃったよぉ……!」


窓の外は、もう藍色へとかわっていた。