物心ついた時から気づいてた。
俺は他の奴らとは違う。

くすんだ赤い髪の毛。
ガラス玉みたいな緑色の瞳。



「ママは日本人なのに、なんでお前はガイジンなんだぁ。」

子供という生意気な生き物は、ズカズカと興味のままに人を傷つける。



俺は日本人だ。
戸籍だって名前だって、どうみても日本人だ。

奴らと同じだ。
ここで生まれ、ここで育った。

他の世界なんて知らないし興味も無いのに、奴らは俺をよそ者としか見ていない。



蓮の体には、知らない異国の血が流れる



そんなの知ったこっちゃ無いのに。
奴らは、異常なモノでも見るような好奇な視線で、好んで俺に近づき傷つけて満足するのだ。


「妖怪みたいね…」
教室の隅でクスクス笑う女の子の中に「そんなことない」と言って、かばってくれた子がいた。

なんて名前だったかな。
忘れちゃったな…


時々目が合うと、その子はニコッと笑った。



「おまえ、ガイジンが好きなのかよ」

不意に押されたその子が蓮にぶつかる。

「きゃあ、なにすんのよ!」

押した男子を睨みつけ、蓮を見て謝った。

「ごめんね、だいじょう…ぶ…?…!!」

その子は剥きだしになった蓮の右手を見たとたん、言葉を詰まらせた。

恐ろしいモノを見てしまった恐怖と嫌悪の表情で。