飛べない黒猫

学校祭で発作を起こし、それを心配した美香が真央を見舞って以来、時々家に遊びに来るようになった。

でも、真央に会いに来るというのは立て前…
蓮が目当てで来ていることは、美香の態度ですぐにわかった。


和野が言っていたヤキモチなのだろうか？
真央は和野と話した夜の事を思い出す。

美香が蓮といるときに見せる表情や仕草がやけに気になり、気に障る。


「ちょっと強引でキツイ性格だけど、根は悪くない子だね。
真央の事が気になるんだよ。
姉御気質だから、世話やきなんだよ。
妹みたいに思ってるのかもしれない。」


浮かない返事の真央に、蓮がフォローした。


違うのに…
わたしじゃなくて、蓮が目当てなんだよ。


真央の心が反論する。


「美香ちゃんとは同じ年でもん。
わたしの方が生まれたの早いから、わたしがお姉さんだし…」


ささやかな反抗も、やきもちのせい？

真央は外を眺めつぶやく。


「クロオ、何処行っちゃったんだろうね…」




クロオが心配だった。
留学の事も決めかねていた。

不安な気持ちばかりが膨れあがる。


こんな時に美香と遊ぶ気になんてなれなかった。