飛べない黒猫

「真央さんは、美香ちゃんに腕を組まれた時、どう思いました?」


和野の問いに、少し間を置いて真央は答えた。


「…嫌じゃなかったと思う。
そうだ、ドキドキしたの…
あんなふうに、されるの馴れてないし。」


「じゃあ、嬉しかったのね?」


嬉しかった?
そうなのかな…

でも、そうかもしれない。
遊びにおいでよと誘われて、くすぐったい気持ちになった。


「…嬉しかった。
誘ってもらって。
楽しい気持ちになって行ってみたいなって思ったの。」


…あれ?
でも、なんで嫌な気持ちなんだろう?


「そして、美香ちゃんは、今度は蓮さんにくっついたのね?」


「…うん。」


「その時、真央さんは嫌な気持ちになったのね?」


美香ちゃんが本当に来て欲しいのは蓮さんだって分かったから?
それで、がっかりして…嫌な気持ちになったんだ…

そうか!

真央は自分の気持ちが整理できて、少しスッキリした。

しかし、和野が言った言葉で、また、わからなくなってしまった。


「真央さんは、ヤキモチ焼いたのよ、
美香ちゃんが蓮さんにくっついたから。
蓮さんの事が好きなのね…
本や人形の時みたいに、美香さんに取られてしまわないかと心配なのよ。」


えっ…
真央は驚いて和野を見た。