飛べない黒猫

蓮は落としたての珈琲をカップに注ぎ、真央の横に座った。


「サンドイッチ?」


「うん…いま、蓮の焼いてる。
和野さんに教えて貰った、ホットサンドだよ…」


蓮はニコリとうなずく。


「和野さん、近々来るって?」


「うん…。
でも、ずっとじゃないの…
息子さんと、暮らす事にしたんだって。
荷物整理するのに…
2〜3日で帰っちゃうの…」


真央は寂しそうにうつむく。


「そっか。
和野さんの料理が食べれなくなるの寂しいな。」


タイマーが鳴る。
パンの焼ける香ばしい匂いが漂っている。

蓮はキッチンへ行き、焼きたてのホットサンドを運んで来た。


「和野さん…お勉強も、お料理も、編み物も…
色々教えてくれたの。
ステンドグラスするきっかけも。
もっと一緒にいたかったな…」


「そうだね、きっと和野さんも、そう思っているよ。
でも、病み上がりの息子さんが心配なんだよ、仕方がない。
ん…美味しいね、これ。」


大きな一口でパンを頬張り、蓮は食べながら続ける。


「まあ、会いたくなったら尋ねて行けばいいんだし、そんなに寂しがる事無いよ。
新幹線で2時間あれば着くし、飛行機なら30分だ。」


「…うん、そうだね。」


真央も、食べ慣れた和野のホットサンドにかぶりつく。
嬉しそうに笑う和野の顔を思い出す。