飛べない黒猫

そう思った時、突然お腹の中が、ぐるんと動いた。
びっくりして立ち止まり、そのままお腹を押さえてしゃがみ込んだ。

じっとしていると、今度はぴくんと小さく動いた。


“…赤ちゃんだ!
あたしのお腹の中で、赤ちゃんが動いた…"


洋子の弱い心を感じ取って、まるで叱るように、そして勇気づけるように、お腹の中の子供は洋子に自分の存在を伝える。



しっかりしてよ、ママ…
せっかく生を受けたんだから…ちゃんと生まれたいよ。
他の赤ちゃんみたいに、大きくなりたいよ。

ママに愛されたいんだよ。


お腹の中の小さな赤ちゃんが、洋子に語りかける。

ぴくん…
また、動いた。



洋子の体中に、温かく優しい愛情が湧き上がった。

この身体の中で育まれている小さな命。

自分の分身、自分の身体の一部であるお腹の中の子に対して、母性の愛が目覚めた瞬間だった。



“赤ちゃん…
あたしがママでいいの?
ママになれるの?"


ごめんね、赤ちゃん、堕ろそうかなんて考えて…
ごめんね、赤ちゃん、死んじゃおうかなんて考えて…


あたしがしっかりしなきゃ、この子は死んでしまう。


あたしが守ってあげないと。
この子には、あたししかいないのだから。


ひとりぼっちなんかじゃない…
あたしには赤ちゃんがいる。

この子と一緒に生きていこう。

男なんて、大嫌い。
強くならなきゃ…

この子は、あたしの子。
あたし一人の子。

あたしが守ってみせる…