飛べない黒猫

その頃の洋子には、付き合って半年になる彼氏がいた。

高1の時に好きになった人だった。
3年になって告白したら両思いだったとわかり、付き合うようになった。


初めての恋愛は、こんなにも人を愛おしく思えるものなのかと、溢れる思いに自分自身戸惑うほどだった。

同じ大学を受験し、春からもまた一緒にいようと約束していた。





強姦された事は誰にも言わなかった。



誰かに知られたら、終わり…
自分の人生は、全て壊れてメチャメチャになってしまう…


誰にも言わなければ、
誰にも知られる事はない。


早く忘れて、彼との愛と楽しい未来だけを考えて過ごそう…
大丈夫、きっと、忘れられる。



洋子は、忌まわしい記憶を封印する事に決めた。







2ヶ月が過ぎた時、洋子は生理がない事に気がつき呆然とする。

もともと不規則で不順な方だったから、遅れているだけに違いない。
精神的なショックで生理が遅れることは多いと聞いた事があっし…

そう考えてみたものの、不安な気持ちはなかなか晴れない。

トイレに行くたびに、生理になっていますようにと願うのだが、虚しく溜息をつくばかりだった。



妊娠したかもしれない…


やっと現実を受け入れた時には、もう、おなかが少し膨らみだしていた。


どうしたらいいのかわからない…




強姦された時の数日前と後、洋子は彼とも関係を持っていた。


どちらの子を妊娠したのかわからなかった。