すると矢苑は 嬉しそうに微笑んだ。 「うん! 俺だって直樹がスキ」 無邪気に笑う矢苑に 俺は何も言えなかった。 矢苑にとって その“スキ”は友達。 それが当たり前だって思ってる矢苑が、 あまりにも残酷で。 そんな事は分かってるのに スキって言われて 嬉しく思う俺が、 すげー惨めだ…………。 「矢苑は…いま幸せか?」 「いっ、いきなり何だよ?」 照れる矢苑だが 俺が真剣な眼差しで見ていると ボソッと答えた。