矢苑にとって
何でも言える友達というのは
俺かも知れない。


でも……俺は、
お前と“そういう事”の為に
一緒にいたくないんだ。



そんな事を考えている間に
矢苑は店員さんから
小さな紙袋を受け取っていた。



「買ってきた!
やっぱ自分で選ばなきゃ意味ねーよな」



そう言って眩しい笑顔を
俺に向ける。


そして俺達はアクセサリーショップを出た。



矢苑は相変わらずルンルンして紙袋を大事にしている。



「……いつ渡すんだ?」



「今週の土曜♪
彼女の誕生日なんだっ」



無邪気な笑顔は
俺にとって残酷すぎる。



ばぁーか。

知ってたよ、そんなこと。


それでも聞いたのは、

会話をしないと
いてもたってもいられなくなるから…………