「少しでいいので、お時間頂けないでしょうか?」 あまりにしつこい勧誘に眉を寄せて、睨みつける。 ……キャバか。 「すいません。私、売却済みです」 他の人がどうしているのかは分からない。 だけど、これで引き下がらないことは、今までの経験上、ない。 売却……って、まぁ、ちょっと違うこと考えられるかもしれないけど。 案の定、謝ってきた男と別れて、人混みの中を進んだ。