向かい側には、大叔母の昔の同僚たちが座っていた。男がほとんどだった。男勝りなところがあった大叔母を、慕う後輩も多かったのだという。
若々しい祖母達とは対照的に、彼らのほとんどが立派な白髪頭だった。小学校という職場はそれだけ大変な職場だったのだろう。
彼らに涙は無かった。しかし、顔は泣いていた。
僧侶らは粛粛と式を進めた。聞けば彼らも、大叔母とは幼なじみなのだという。彼らも辛いのだろうな。私はそんな風に、皆を見渡しながら想像していた。しかし一刹那の後、私ははっとした。私はこれまで、大叔母が亡くなったという実感を持ってここにいただろうか。来させられている、という気持ちではなかっただろうか。
懺悔、悔恨、羞恥…さまざまな感情が私をかけ巡った。そしてそれら全てを溶かした一筋の水溶液が、これまで誰より真理を見つめているようで、実は自分自身ですらまともに視ることが出来ていなかったその眼から、流れ出た。それを横目にした祖母たちは、渇いた泣き声を、大叔母の棺に浴びせていた。
それでも彼女だけは、涼しげな表情で写真に写っていた。