海までの距離




「俺、ハンバーガーとコーヒー。ここのハンバーガー、美味いんだよ。中に挟んであるベーコンが絶品」

「じゃ、私も同じので。それとオレンジジュースを」

「すみませーん」


ライさんが片手を上げると、さっきメニューを持ってきてくれた店員さんが、グラスの水をお盆に乗せてやって来た。
20歳くらいの女の人。黒いエプロンに白いブラウスがよく似合っていて、長そうな焦げ茶色の髪をシュシュでポニーテールにしている。
可愛い人。


「ご注文、お決まりですか?」

「ハンバーガー2つ。それと、コーヒーとオレンジジュース」

「有難うございます」


さらさらと伝票にオーダーを書くお姉さん。
うわあ、手も綺麗。


「…それで、その子が今新潟から来ている子なんだ?」


ふっと上げられた顔は、ライさんの方。
突然接客モードから切り替わったことに、私は何が何やらさっぱり理解できず。


「そ。今、大学案内してきた帰り」


ライさんは慣れた口ぶりで、お姉さんに答える。
知り合いだろうか。それとも友達?
随分と親しげ。


「受験、頑張って下さいね」


お姉さんはそう言って口角を上げて笑った。